ボストンは日差しが強烈だ。夏は当然だが、冬も雪が降った後に晴れると、まぶしくて雪焼けしてしまう。

 勤務先の医療センター周辺には高層ビルも少なく、ちょっと歩いている間でも日焼けする。去年の夏はひどく日焼けし、リゾートに出かけたみたいになったので、今年は日傘をさして歩いた。去年は誰一人として日傘をさしていなかったから遠慮したが、今年はそんなこと言ってはいられない。

 多分、ボストン中探しても、日傘をさして歩いた人間は私以外いなかったと思う。皮膚がん防止のために紫外線に注意しようといくらキャンペーンをしても、習慣はなかなか変えられないらしい。日傘とマスクはアメリカの習慣にはないようだ。

 さて、今年6月、ハーバード大学がボストン住民1800人余りを対象に新型インフルエンザに関する電話アンケートを行った。先ごろ発表された報告書によると、インフルエンザが流行してもマスクをかけようとする人はわずか3%以下なのである。マスクが売り切れになるわが国とはだいぶ違う。

 その一方、共有のパソコンを使う際の手指の消毒に関しては厳重である。例えば、コミュニティーカレッジで行われるパソコン教室では、教室の入口にアルコール消毒のコットンなどが置かれていて、手指を消毒しないとパソコンを使用できないようになっている。私が在籍するダナ・ファーバー研究所でも共有で使用するパソコン周辺には同様の消毒が必須だ。

 共有のパソコンはたしかにインフルエンザ流行時の盲点になりやすい。先日、東京で新型インフルエンザが集団発生した高校では、理系進学組の生徒らが狭い部屋でパソコンを使ったのが引き金になったと聞いている。教室に入る前に手指を消毒する習慣のない日本。日傘とマスクの習慣がないアメリカ。それぞれの習慣が病気予防の決め手になることが多い。