雪が残るはハーバードスクエア

雪が残るはハーバードスクエア

これからボストン、ハーバードです

これからボストン、ハーバードです

読売新聞ヨミドクターで10月31日(月)からブログが始まります。

Boston

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Bostonは雪が、私の背くらい積もっています。

Bostonは雪が、私の背くらい積もっています。

チキンサラダで夕食
チキンサラダで夕食

高齢者とうつ

先日ハワイでラジオ番組に出演し、現地の方のこころの悩みの相談を受けた。そのお一人は、6年前に夫を亡くして以来うつ病で、投薬治療を受けているが、ちっとも良くならず、つらいという。

食材を買ってきて食事を作ることはできるが、それ以外で外に出たくはない。まわりが明るく、観光客も多いから、幸せそうな人々を見るといたたまれなくなるらしい。ご家族は近くにいらっしゃらないのかと聞くと、子供たちは近所に住んでいる。でも、「子供たちは独立して結婚もしているから、迷惑をかけたくない」と続けた。

この日系女性は、まわりのコミュニティーともあまり接触がない様子だ。独立心も、子供に迷惑をかけたくない、との気持ちも立派。しかし、週に一度、みなで食事をするのは迷惑だろうか。

「全てか無か」でものごとを判断すると、気持ちが落ち込む引き金となる。毎日一緒の食事は、相手に負担かもしれない。しかし、ほどほどの距離感を保ちつつ、子供たちや友人、知人とコミュニティーをつくり、ネットワークを広げれば、落ち込んだ気分もサポートしてもらえる。

加齢と共にネットワークは次第に小さくなり、人とのかかわりが減ると気持ちが落ち込む、とハーバード大学のN・A・クリスキタス教授が語っている。ネットワークが縮む時期に配偶者の死が重なり、うつが進んでしまう例もある。話し合える人が多いと落ち込む可能性は低い。とくに友人は、特段何かをしてくれなくても、存在自体に意味がある。

いろんな人に少しずつサポートしてもらい、元気を回復したら今度は誰かを手助けする、というネットワーク作りが必要だろう。

寿司とコラボレーション

お寿司はお好きですか?日本人で、嫌いな人は少ないだろう。「スシ」は、今や日本だけでなく、世界中でヘルシーメニューとして人気が高い。ボストンでも、「オスシ」という店名のレストランがある。

握りを食べるといつも、これぞ「コラボレーション」だと思う。例えば中トロの握り。中トロをおつまみで食べるのと、ごはんと一緒に握るのでは、全くの別物だ。大トロもちょっと炙ってごはんと海苔と一緒にいただくと、単品とは別物。どちらも、中トロ以上、大トロ以上になる。別々に食べるより、一緒にした時こそ、そのものの力がより以上に発揮できる。これがコラボレーションだ。

こんなにもコラボレーション精神があるわが国で、なぜ研究や政治でのコラボレーションができないのだろう。例えば、私は臨床で個人と個人のコニュニケーションに関わり、今はヘルスコミュニケーションで医療情報を一般の方にいかに伝えるかを研究する分野で仕事をしている。アメリカのこの分野では、マスコミ、臨床家、公衆衛生の基礎医学者、社会学者など、さまざまな分野の人が情報交換したり、勉強会やミーティングを開いている。

常々私は、ハーバード大学のヘルスコミュニケーションのチーフから、「どうして日本は、いろんな分野の人が集まってミーティングしないのか」と質問され、返答に窮する。そんなミーティングを企画したい、と思う。しかし、やればどうなるか容易に想像がつき、二の足を踏んでしまう。

参加者がおのおのイコールの立場で接しにくく、すぐ縦型、ピラミッド構造ができる。肩書、役職、社会的地位、知名度で上下関係が固定化する。こうした縦型組織ができやすいのが日本の弱み。企業間は利益を目的にコラボレーションが成立しやすいが、研究だとこの精神が消えるのが残念だ。