1月2009

視点が違う人

 買い物をする時、「この商品は人気です。売れてます。」と言われることがある。生活必需品の場合はきっと便利なんだろうと思って購入の参考にするが、衣服の場合は逆にその商品を買わない。同じジャケットを着ている人にばったり会うなんでイヤですからね。

 しかし、このせりふでわかるように、日本では「みなと同じ」が一種の安全弁に思われる傾向が強く、とりあえずみなから「浮かない」ようにすることが日常生活の基盤になっている。こうした傾向はこれまでも触れた。

 しかし、調和がとれている時には、これでさほど問題にならないが、ひとたび調和がとれなくなった時、困ったことになる。最近の円高不況でそのことを実感した。

 経済危機がとりざたされた途端、ほぼすべてのマスコミが先行きの悪い見通しばかりに焦点を当て、連日紙面のほとんどがこのニュースで占められるようになった。大手企業が業績を下方修正して人員削減を発表するや、他の企業も追随した。全く同じ方向性で企業トップが方針を決めたわけである。

 「みんなと同じようにしていないと不安で、それしか道がない」と考えている経営トップばかりなんだろうなあ、とがっかりした。その影響で、みなが職を失う不安で買い物をひかえ、日本中が元気を失っている。

 よくないことばかりに注目すると体調や心の調子が悪くなる。同じ視点しか持たない家族構成だと調子を崩しやすいが、家族に一人異なったものの味方をする人がいると打開できることがある。今の日本の暗さは、同じような出身、思考性の政治経済のトップで占められた弊害ともいえる。

 今、アメリカはオバマのもと新しい雇用と職を作ろうと模索中だ。何でもアメリカがいいとは言っていない。しかし、多様性を大切にして新しい視点をとり入れる方向がないと、危機は乗り切れないだろう。

何とかなりそう

 レストラン勤めのAさんは、半年前に比べてめっきりお客が減って大変だと嘆いている。「街を歩いていても、みんながすさんでいる感じ」という。

 さて、不況といえば、その大きな要因となったアメリカ経済がすさまじい状況なのはいうまでもない。アメリカ嫌いの友人から「そんな不況の中にいるのはさぞ大変でしょう」と皮肉まじりに言われた。たしかに昨年の夏からみると、ホームレスの人たちがじわりと増えたように思われる。

 にもかかわらず、歩いていてもさほどすさんだ感じはしない。日本よりもひどい状況だと思うのに、なぜだろうと考えていた時、テレビの世論調査を見た。経済状況が今以上に悪化すると考える人は2割にとどまり、8割はこんな感じだろう、あるいは、よくなるのではと予想しているという。

 これでわかった。要は、楽観主義と言うのか、何しかなるだろう、と思っている人が多いのだ。すさんだ感じが少ないのはこの思考性のためなのだろう。現実がどれほど大変な状況でも、未来に希望がある人ほど精神的に落ちこみにくいといわれている。つまり、現実が厳しくても将来を明るくとらえられるかどうかがカギだ。未来の展望がある国民ほど自殺率も低い。

 日本はどうだろう。先行きの見通しを明るくとらえられるような人はごくわずかではないだろうか。その要因のひとつは思考回路。「どうせうまくいかないに違いない」と考えるくせがついていることだ。それには私たちが育ってきた環境の影響も大きい。何とかなるさ、というより、最悪の事態を考えるくせがついているのだろう。

 第2の要因はやはり政治の影響だ。アメリカではオバマ人気が圧倒的で、今は大変でも未来はよくなると、何か思わせてくれる雰囲気がある。誰がやっても、どうせ何も変わらないと思わせるような政治では、国民の思考回路は今のままだ。

2009.1.18.sun