8月2010

Bostonのオープンカフェ

Boston Four season hotel の日曜のlunch たまにはのんびり

初期値の違いにご用心

 共働きの若夫婦、お互いに疲れて帰ってきてこれから夕食の準備をしなければならない。妻が「疲れたー」とこぼしながら準備を始めた時、夫がどんな言葉を発したら妻はカチンとくるでしょう。

「オレも疲れた」
「手伝ってあげようか」
「何かとろうか」

 さていかがでしょう。あなたならどんな言葉でカチンときますか。あるいはどんな言葉をかけますか。

 私なら最もカチンとくるのは2番目の「手伝ってあげようか」。男性は疑問があるかもしれない。「手伝おうか」ならとてもうれしい。途端に疲れもとぶだろう。でも「手伝ってあげようか」はいけない。その言葉には、本来自分がやる役目ではないのにやってあげるという意味が含まれる。夫と同様に働き、収入を家計に入れている妻としてはこの姿勢が嫌なのだ。

 「初期値の違い」という概念がある。女性なら魚を焼けるのは当たり前でも、男性が焼くとすごい、偉いと言われたりする。学生に「お母さんは洗濯機使える?」と聞くと、「当たり前」と答えるが、「じゃ、お父さんはどう?」と聞くと「うーん、多分使えると思うけど」などと答える。初期値、すなわち期待される最低レベルが男女では違う。そうしたことが夕食の支度にもあらわれるのだろう。

 支度するのは疲れていても自分の役目だ、と多くの女性が思っている。もともとそういう教育をされていない男性に同じようにやってほしいとは思っていない。でも自分でできることを率先してやろうとする男性が夫だったらどんなにいいだろうと女性たちは思っているはず。それを「上から目線」でやってあげるなんていわれるとカチンとくるのだ。男女の初期値の違いを知っているとこうしたすれ違いは少なくなるはず。ご注意を。

日曜のBoston市内

留守中、椅子の下でむくれているミーちゃん

人手不足と心の余裕

 2年前、ニューヨークのそのホテルには、4人のベルボーイがいた。去年、ベルボーイは2人になり、この春、ボストンからの帰りに再び泊まると、ベルボーイはたった1人。部屋の冷蔵庫もルームサービスもなくなった。1階のレストランは朝食のみで、昼・夜は閉鎖。すさまじいまでの経費削減だった。おかけで、「日本なら、どんなビジネスホテルでも冷蔵庫がないところはないなあ」と、改めて日本のホテルのサービスとホスピタリティーに感謝した。ところが、である。

 先日、四国で仕事があり、某ホテルに一泊した。航空会社が手放し、鉄道会社に経営が移行したそのホテル、建物は立派である。しかし、到着した時から「変だな」と思うことが頻発した。きわめつけは翌日の出発間際だ。

 コーヒーを飲もうとラウンジに入った。ところが、隣で男性客がたばこをたてつづけに吸い始めた。私はクーラーのせいでのどの具合が悪かったため、席を代わろうとウエートレスを探した。しばらく待つが、誰もいない。仕方なく、自分で水やコーヒーを持って席を移った。新しい席と2往復する間誰もこない。人手不足なのだ。

 やれやれこれでゆっくりコーヒーを飲めると思ったら、ツカツカとウエートレスが現れて、「お客さん、あっちの席から移りましたね。勝手に席を移られちゃ困るんです」

 びっくりした。「あなたたちを探したけどいなかったのよ」と説明したが居心地が悪く、コーヒーは半分しか飲まずに出た。人手が足りないから、建物はきれいなのに相手の気持ちを察するゆとりが失われているのだ。

 このホテル、マネージャーも皆若かった。かつて、ホテルはもてなしのお手本だった。だが今、誇り高い時代のホテルマンは、リストラされてしまった。採算優先、利益第一に走ると失うものも大きいのではないか、と心配である。