アメリカの書店には、いわゆる「ジョーク集」が並んでいる。書店に併設されたカフェでこうしたジョーク集を読むのは楽しい。そのなかに、ミュージシャンをテーマにしたこんなジョークを見つけた。

 「ジャズミュージシャンとポップスミュージシャンの違いは何か?」
 答えは「ジャズミュージシャンは1000のコードを3人の客の前で弾く。ポップスミュージシャンは3つのコードを1000人の客の前で弾く。
 これを紹介するとジャズミュージシャンたちは大笑いする。

 さて、先日まさにこのジョークそのままの場面に遭遇。知人の名ジャズピアニストが、やはり名ベーシストとして知られるミュージシャンと共演するのでジャズクラブに出かけたら、お客は10人たらず。しかし演奏は素晴らしく、聴いていると心がすっきり幸せな気分になった。

 演奏している彼らを見て、改めて、なんと生き生き、のびのびと生きている方たちなんだろう、と感嘆した。お二人とも年齢は60歳、70歳を過ぎているはず。この暑さで、しかもお客は少ない。条件がいいとは決して言えない環境で、これだけ幸せそうに生きている大人は数少ない。

 自分が本当にやりたくて、年をとってもなお自分を少しずつ成長させ、磨きあげるものがある。そして、お金のためだけでなくやっていることがある。これが心の幸せのバロメーターではないか、などと思った。

 年をとるごとに、お金や名誉や人から褒められるためだけにすることの割合が減っていくのは、幸せだと思う。その意味で、私の場合、音楽や研究などの割合が増えてきて楽しい。

 あなたはいかがですか。生活のなかのイベントをひとつひとつ見直したとき、お金にならなくてもやりたいことを増やしていくと、心は豊かになるように思う。