青信号で横断歩道を渡っていたら、いきなり目の前を、猛スピードで横切った自転車があってヒヤリとした。そして、またか、と思った。
 ボストンは自転車を利用する人が多い。大雨や雪の日に乗る人はさすがにいないが、少し気候がよくなると自転車人口が増える。そして日本も共通しているが、不思議なルールで自転車を走らせる人が実に多い。

 まず、信号無視。車道を走っているのに、止まった車の横を赤信号でもスイスイ走り抜ける。赤信号になると突然方向をかえ、逆方向に突っ走る。一方通行の車道を猛スピードで逆走。車のルールとも歩行者のルールとも違う独自のルールで走るから、気をつけていないとぶつかってケガをする。

 東京でもしばしばこわい自転車に出合うので、万国共通だなぁと苦笑する。そして、これは一種の「制服効果」だなあ、と思ったりする。制服効果とは、制服と自己が一体化して、個人の感情や感覚を失ってしまう、というもの。

 例えば、兵士が制服、戦闘服を着て、整列して
行進する時、個人の感情や道徳観は抑圧されて制服と一体化する。スーツを着てネクタイをしめたり、イブニングドレスを着れば気分がかわり、ビジネスマンやレディのように感じられることでもわかるだろう。いい意味でこれを利用することもできるし、逆のこともある。

 自転車の場合、ふだん車を運転したり、歩いているときには赤信号で止まる人も自転車と一体化してしまい、「どちらのルールにも従わない」ルールで自転車を走らせてしまうのではないだろうか。
 自転車を利用する方は、ちょっと自分の心理を観察してみていただきたい。というのは、最近、東京では、子供を乗せて「自転車ルール」で走っている女性をみかけて、危険だなあ、と思ったりするからだ。制服効果は、いいことに使いたいもの。ご注意を。