欧米ではまず見なくとも、日本ではごく普通な年の暮れの風景がある。そのひとつが、酔っぱらって大声を出して歩く数人連れの男性たちと、週末のランチに数人でテーブルを囲む女性たちの姿である。

不況とはいえ、日本では、恒例行事の忘年会を外せない職場も多いだろう。アメリカの場合、クリスマスが家族行事だし、「新年」に対する意識も日本とは違う。だから、忘年会のような行事はほとんどない。あるとすれば、職場の仲の良い友人との食事で、職場単位の親睦会はランチが多い。酒席に職場全員が集う例は、少なくとも私の場合、アメリカで経験したことがない。こうした日本式恒例行事の忘年会や親睦会、あなたはお好きですか?

私は、夜のお仕事ごはんが嫌いなので、若いころからほとんど出席しない。夜の食事では本当に好きな相手とリラックスしたいから、家か友人と一緒がいい。会社勤めなら、嫌いでも集団行動をとらないと仕事に差し支える。出席しないといけない方は大変だろうと思う。ましてアルコールに弱い方にとって、忘年会はストレスだろう。

日本式親睦会は、実は大抵、真のコミュニケーションの場になっていない。たとえば、集まりの中で地位が高い人だけがしゃべりっぱなし。部下はそれを拝聴し、相づちを打つ。こうした集まりを観察してみると、「しゃべり手」と「聞き手」が固定化されていると分かる。話すのは偉い人、男性、年齢が高い人で、聞き手は部下、女性、若い人というわけだ。

コミュニケーションは、双方向のものでないとフラストレーションのもとになる。日本式親睦会は、実は上司と部下の支配・服従関係の再確認の場で、職場での立場を引きずったままの場合がほとんどではないだろうか。こうした名ばかりの親睦会を変えられるのは、上司の立場にいる方だけ。今年こそはぜひ。