この季節、マスクをする人が多くなるが、ボストンではマスク姿の人を全く見かけない。欧米ではどうやらマスクは嫌われているようだ。

 マスクをするのは重病の人というイメージがあるらしく、カゼをひいてもマスクをしない。外が寒く乾燥した風が冷たいからマスクをかけて歩いていたら、
不審な人に思われ、通勤電車で隣りに座る人がいないのには驚いた。
 それにもめげず買い物の帰りに赤信号で待っていたら、車が止まり、渡りなさい、と手でサインを送ってきた。重病人が野菜を抱えて信号待ちしているのが気の毒と思ってくれたらしい。

 なぜこんなにマスクをしないのだろう。他人に弱みを見せたくないという心理的な要因もあるのかもしれない。
 さて、マスクは日本の生活の知恵に思える。というのは、気温マイナス20度のボストンではカゼをひかないのに、東京に帰ると同じような行動をしていてもカゼをひきやすいのだ。

 これには人口密度と大気汚染の影響もあるのではと思う。地下鉄もショッピングセンターもこみ具合が全く違う。東京では誰か一人がカゼをひいていると途端にうつってしまう状況だから、マスクは欠かせないわけである。

 人にカゼをうつさない、という知恵。人口密度の高いわが国だからこその工夫だろうか。これからインフルエンザのはやるシーズンだから被害を最小限にくい止めるには予防が一番であるということはいうまでもない。

 寒い季節のマスクはカゼ予防だけではなく他の病気の予防にも役立つ。たとえば冷たい空気をいきなり吸いこんだ途端に心筋こうそくをおこす人もいるが、マスクをすればこうした温度差による発病も防げる。早朝の運動や、体育で寒い中を走るような場合、気管支ぜんそくなどの予防にも役立つ。

 マスクはファッションの面からはいまひとつだが、さまざまな生活の知恵を含んでいる。

2009.2.1.sun