年が明けてからまだ1カ月も過ぎていないのに、昨年12月の出来事が、はるか昔のように思えるのは、「新年によるリセット感」のせいだろう。

同じ数日でも、普段の数日と感覚が違うのは、我々の心と意識によるものだ。カウントダウンの1分は長いが、普段の1分は気にもされない。ものごとのとらわれ方は、事実よりも、私たちの心の状況や体の状況が大きく左右する。空腹のときならば、1個のおにぎりでも宝物のように思えるのに、満腹のときは、たかがおにぎり、となってしまうように。

年明けのこの時期は、「さあ、気分よくスタートしよう」と思っているだけに、ちょっとした失敗や体調不良で、「新年早々縁起でもない」と落ち込んでしまう人も多く、要注意である。普段なら取り立てて落ち込むほどでもない失敗で、「これで今年はダメなのでは」と思い込みがちなのは、「新年」という意識のなせる業なのだ。

Aさんは、元旦に転んで足をすりむいたという。
ごくわずかなすり傷で、普段ならすぐ忘れてしまうような出来事だ。にもかかわらず、「元旦からこんな失敗をするということは、この一年良いことがないのではないか」と思い、シュンとしている。傷よりも、自ら思い描いたイメージで悩んでしまうのも「新年」であるがゆえ。

一度の失敗ですべてダメと思い込むという思考回路は、「一般化思考」と言われ、気持ちがうつに傾くものである。新年早々の失敗は、こうした思考回路に陥りがちだ。

これを修正するために、一つ提案。
「新年くらいは思考回路を点検しよう」である。一度の失敗で、すべてがダメ、などと思って落ち込むのをストップする。先の先までネガティブに考えようとする気持ちを、ストップしてみる。新年早々、カゼをひいたり、食べすぎたりしたりした方は、新年の思い込みにご注意を。