このところ、「婚活(結婚相手探し)ストレス」なる言葉がはやっているとか。
婚活を続けてもなかなかいい相手に巡り会えず、疲れ切った状態を言うのだそうである。なぜそんなに「婚活」がストレスになるのか。どうも、不況や就職難など社会状況と関係があるように思われる。

女子は、就職が厳しいから、結婚して生活を安定させようとする。男子は、就職しても勤め先の倒産が心配で、妻と子を一人で支える自信がない。そのためか、大学でもこの数年、年を追うごとに女性の将来の希望が保守化していると感じる。専業主婦志向が強まる一方、男子学生は、家事を手伝いたくはないが、妻には働いてほしいと考えているケースが多い。

こうすれ違っては、婚活ストレスも起こるだろう。逆に、女性が男性同様の賃金や昇進スピードで働き続けられるなら、若い世代は安心して互いに協力し合い、結婚に踏み切れるだろうに、と思う。

男女の役割分担は、高度成長期、男性の終身雇用で家族も一生安心だった時代には、機能していたのかもしれない。しかし、事情が変わった今もその体制を続けているから、少子化どころか結婚自体がストレスとなり、若い世代は心地良く生きにくくなる。

昨年開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)では、中山義活・経済産業政務官が「日本には男女の性別役割分担という美しい文化がある」と述べ、各国代表らから驚きの声とブーイングが上がった。

日本では、女性が企業トップになったり起業したりすることは、まだまだ「特別な生き方」扱いだ。やはり、「女性は家庭に」という精神的な束縛が根強いのである。こうした束縛から改革していかないと、若い世代の問題は解決しない。その結果が、就職難の末の結婚難では、あまりに気の毒でならない。