Cherry Blossoms in Fukushima 福島の桜

単語・イディオム
stirring:「活発な」
insidious:「予断を許さない、ひたひたと進行する」
façade:「建物の前面、ファサード」転じて「表向きの顔、うわべ」
second: 動詞で「(人を短期間)配置する、送り込む」

要約
野口秀雄を生んだ土地、東北は、その不屈の精神を受け継いでいるように思える。広島から訪れた私たちを迎えたのは、未曾有の大災害から立ち直ろうとする人々の姿だった。復興支援金や活性化した行政が機能し、各地から専門家が派遣されている。何より、普段は内気で無関心になりがちな日本人が、学者から幼い子供の母親、若い学生まで、復興に貢献したいという気持ちを持ち始めている。
それでも、福島第一発電所をとりまく不安な状況は厳しいままだ。精神的な圧迫、コミュニティーや家庭の崩壊など、深刻な事態が続く。原発近くを通った私は、ル・グインの小説『ゲド戦記』に登場する竜を思い出した。その付近では、どんなに小さくともすべての動きがとてつもなく大きな恐怖に感じられる。
最終日、福島が誇る古い桜を見に行った。福島の人々は、マントラのようにこう繰り返していた。「木々と水、空気と山が生きている限り、私たちも大丈夫」(NY在住の翻訳家、横島智子)

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コメント
国連訓練調査研究所顧問による、東北と福島の復興スケッチ。落ち着いていて、誠実な印象を受ける文章です。福島に住むお母さんたちが、子供たちには放射能の危険を伝えたくない、と語る部分が強いインパクトを残します。