Nuclear Disaster in Japan Was Avoidable, Critics Contend
「フクシマは避けられた」批評家らが主張

単語・イディオム
scrach one another’s back:「互いに背中を掻きあう、癒着関係にある」
rubber stamp:「ゴム印」転じて「安易な、形式的な」
wink at:「見逃す、見て見ぬふりをする」
hands off :「傍観者的な、干渉しない」
choreograph:「振付をする」転じて「(人などを)コントロールする」

要約
震災から1年たった今も、日本の規制機関と東電は、福島第一原発の事故は高さ45フィートという想定外の津波によるもので、メルトダウンは避けられない事態だったと主張している。
しかし元内部関係者らの証言からは、東電が長年にわたって巨大津波の予測と専門家からの警告を無視していた過去や、適切な処置を行っていれば事故を防げた可能性が浮かび上がってくる。元東京大学地質学教授の島崎氏は8年前、地震に関する安全対策委員会で当時東電が予測していた津波の高さ(17フィート)は実際のリスクの半分でしかないことを指摘していた。
当時の議事録からは、政府官僚が島崎氏の懸念を「要調査」として放置した経緯が読み取れる。原子力安全・保安院の下で原発の安全調査を実施する政府機関である原子力安全基盤機構は、調査員のほとんどが電力会社や関連企業の元社員であり、2009年に北海道泊原発の調査を行った元担当者は、検査の不備を報告したところ上司に「修正」を強要され、「疑問を呈することではなく、承認を下すことが職務」であると伝えられたと証言している。
内部を知る元官僚や専門家らは、フクシマの事故は、戦後日本を象徴する政府と電力産業の癒着体質に対するウェイクアップ・コールだと主張している。 (NY在住の翻訳家、横島智子)

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コメント
NYT東京支局長のマーティン・ファクラー氏による、原発の元内部関係者の証言を集めた記事です。ファクラー氏は震災後一貫して原発を周辺の利権構造や政府対応への批判などの記事を書いています。記者別に記事を読み返してみるのも面白いと思います。