子供のころ、家の手伝いをしましたか?

 少なくとも50歳以上の方なら、洗濯物をたたむことや買い物、弟や妹の世話をした覚えがあるのではないかと思う。子供の数も多かったし、マイカーを持っている人も少なく、コンビニも大型スーパーもない時代。もちろん全自動洗濯乾燥機などなかったから、子供といえども家事や家の行事に協力しないと生活が成り立たなかった。

 とはいえ、お手伝いにより子供は家族の一員という自覚が生まれたし、大人の仲間入りをした気分になった。

 ところで、1970年代のデータだが、日米の高校生が家の手伝いをする時間を比較した興味深い調査がある(当時の経済企画庁しらべ)。アメリカの高校生の男子88.5%、女子の96.5%が家事や買い物、掃除の手伝いをするのに対し、日本では男子30%、女子は68.7%だけだった。

 また、アメリカでは男女とも40%以上が弟や妹の世話をすめが、日本では男子は9.6%、女子が15%にすぎない。逆に、何も手伝わない高校生はアメリカでは男女ともわずか1%だが、日本では男子47.3%、女子35.9%に上る。甘やかされているというより、子供は家の手伝いなどより勉強をしてくれた方がいいという親が多かったのかもしれない。こうした傾向は現在ますます強まっているのではないか。

 しかし、家事、つまり生活にかかわることを全くしないまま社会に出て、いきなり一人暮らしをすると、全く何もできない、ということになる。若いカップルが結婚し、夫が家事や子育ての協力をしたくても、手伝ったことがないからどうしていいかわからないことも多いだろう。そのことがトラブルのもとになったりもする。

 生活はバーチャルな世界とは違う。夏休み、生活のこと、家事のこと、子供に手助けすることの喜びを伝える機会を増やしてほしい。