Japan Held Nuclear Data, Leaving Evacuees in Peril 
日本政府が情報隠蔽、避難民を危険にさらす

単語・イディオム
play down: 「軽視する」
damning admission: 「悪事を明らかにする告白」
telltale: 「暴露する」
flip-flop:「発言をころころ変える」(名詞としては「ビーチサンダル」の意)
come clean: 「白状する」
dosimeter: 「放射線の線量計」
plume: 「汚染物質」
churn out: 「次々に作り出す」
pass – to one another
like a hot potato:「~(厄介な課題など)をたらいまわしにする」

記事要約
震災翌日、福島第一原発近くの浪江町の住民らは政府からの指示がないまま北に逃げ、避難先の対馬で3日間を過ごした。ところが、実際には当時の風向きは北向きであったこと、その事実は事故発生当初から放射能影響予測ネットワーク“Speedi”によってはっきりと示されていたことがわかった。住民はこの期間に被爆した可能性が高く、情報をすぐに公開しなかった政府当局に対する怒りをつのらせている。原因は、まずは官僚の「責任逃れ」「批判防止」の体質、さらに、Speediの存在を知った後も避難エリアの拡大を恐れてデータを軽視した政府の対応にある。また、政治に強い影響力をもつ東電は、事故の原因が実際には津波でなく地震にあった疑いを示すデータを今も隠し続けている。
政府アドバイザー・グループの一員だった小佐古氏はNY Times紙に対し、「枝野官房長官には事故発生直後にSpeediの存在を伝えてデータを活用することを提言した」、「政府当局者らにSpeediデータを公開することを繰り返し訴えたが無視された」と語る。
情報がようやく公開され始めたのは、IAEAでの報告が迫った5、6月であり、もはや事故の規模を隠し切れなくなった段階での判断と思われる。校庭の放射線基準値も二転三転する今、住民らは信頼できる情報源のないまま不安な日々を過ごしている。(NY在住の翻訳家、横島智子)

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事故発生直後のSpeediデータ取り扱いを巡る経緯が、小佐古氏の証言をまじえてかなり詳細に書かれています。日本語での発言を英訳した部分が多いので、日本人の読者にとって読みやすい文章になっています。これまでNYTimesの原発事故関連記事では関係者の発言を引用した間接的な批判が多かったのですが、今回はより直接的に、厳しい見解が述べられているのが印象的です。