海原純子の医学講座

 最近はタバコを吸っている女性が多いですね。あなたはどうでしょう?
 タバコを吸うと何となくカツコよくみんなタバコで手持ちぶさたを解消する、などがタバコを吸う女性が多い理由かもしれません。

 何となく体に悪いことをして悪ぶっているのがカッコイイ、と思っているのかもしれませんが、タバコは本人というより周囲の迷惑。とくに連れている子どものそばでタバコを吸っている若い母親を見ると、わがままな人だなあと思ってしまいます。

「タバコで自分の健康を害するのは自己責任でしょ。私の自由」
などと言う人がいますが、実はタバコは周囲の人の健康を害しているのです。狭いカフェの中で平気でタバコを吸うのは、まわりの人の健康を害しているわけです。

 というのは、副流煙は主流煙に比べてニコチンは2.8倍、一酸化炭素は4.7倍、タールは3.4倍、アンモニアは46倍にもなるといわれ、吸っている本人よりも周囲の人のほうが悪影響を受けているのです。

 タバコを吸う夫と暮らす妻の肺ガンリスクは約2倍になり、職場などで受動喫煙すると5〜10パーセント肺機能が低下します。

 タバコは交感神経を緊張させ、ストレス状態をつくり出します。よく、タバコを吸わないとストレスでイライラ、というのは間違いで、イライラするのはニコチンの禁断症状なのです。

 ストレス解消にタバコを吸うというのは、大間違いで、タバコは、自律神経をストレス状態にしているのです。 
 タバコは交感神経を刺激し、血管を収縮させるので、全身の血液循環が悪くなります。
 顔色が悪くなり、子宮、卵巣周囲の血液循環が悪くなって生理痛がひどくなり、卵巣ホルモンの生産が減少して生理不順になりやすく、早期閉経が起きることもあります。
 男性の場合はタバコストレスにより、精巣での精子生産減少、勃起不全、ペニスが短くなるともいわれています。

 また、タバコを吸う人が手術をした場合、手術予後は歯のインプラントなどでも不良になり、免疫機能も低下します。
 子どもが受動喫煙すると、中耳炎、ぜんそく、知能低下、算数能力が低下などの症状が見られます。

 こんな人迷惑なタバコ。それでもタバコ、吸いますか?

 さらに、つけ加えると、タバコを吸うと、ニコチンと青酸ガスのために、全身の血液循環不全で頭皮の血行も低下し、脱毛・薄毛の原因となります。
 タバコを1本吸うごとに約25〜30ミリのビタミンCを消耗するため、皮膚真皮を構成するコラーゲンの生産が低下し、肌の老化が進みます。

 タバコは、
「1日に3本吸うだけで肺ガン死亡率は2.3倍」
になるのです。

「タバコの実質安全量は1日1本」
どうしても吸いたい人は、1日1本、だれもいないところでどうぞ。

 ところで、なぜタバコを吸うかというと、
「私は大人よ。私は男と同じよ。くわえタバコで歩くんだもの」
 というカッコよさを演出してタバコを吸いはじめ、そのうちニコチンの依存症になってしまってやめられなくなるのではないかと思います(タバコには添加物が600種類以上あります。添加物の目的は、ニコチンの吸収を素早くして、早く依存症にする効果があるのです)。

 なんとなくカッコよさを求め、手持ちぶさたでカフェでタバコに火をつける、という退屈しのぎのタバコをやめることがタバコ依存を断ち切るスタートでしょう。一人でカフェにいて手持ちぶさたになるということは、

 一人の時間を一人で過ごせず、タバコに依存している。
 つまり、自分がないということにつながるのです。

 一人で自分の時間を充実できる女性になれば、タバコなど必要なくなってくるんですね。