海原純子の医学講座

 化粧水を肌にいっぱいつけ、コットンに含ませた化粧水でパックしている人をよく見かけます。
「肌をみずみずしくしたいから、水分を吸収させるの」
 という言葉も耳にしますが、でも待って。
 水分って肌からは吸収されないんですよ。

 もし肌から水分が吸収されたら、それこそ大変。お風呂に入ったり、プールで泳いだら肌がふくれあがってしまうではありませんか。
 肌にはバリアー機構があって、直接肌にふれるものを吸収しないしくみになっているのです。

 直接吸収するのは、副腎皮質ホルモン剤や重金属、ある種の色素だけ。水は吸収されません。
 肌をみずみずしくするためには、外からつけるのではなく、中から吸収させる。つまり、水を飲むことが一番なのです。
 体細胞の70〜80パーセントは水からできていて、老化するにつれてその割合は減少してきます。細胞に含まれる水分が多いほど若々しい肌になるのです。
 しかし現代生活は、エアコンなどの影響で乾燥しがち。しっかり水分を補給することが大切です。

「水を飲むと、むくむのではないかしら」
 と心配する人もいるようですが、体に負担にならないミネラルウォーターを上手に利用すれば、むくむどころか、むくみ防止に役立ちます。
 ヨーロッパには「水療法」のクリニックがあり、腎結石や胆石、高脂血症にミネラルウォーターが使われています。
「水利尿」
 などという言葉もあるんですよ。採取領域でミネラル含有量が異なりますから、マグネシウムの量が多く、利尿効果の高いコントレックスやヴィッテルは、その水利尿の特性を応用して治療に用いられ、むろん、むくみ改善、便秘解消に役立っています。

 こうしたミネラルウォーターを私たちも使わない手はない、というわけで、まずスーパーマーケットでミネラルウォーターのミネラル含有量をチェックしましょう。
 朝起きたとき、マグネシウム含有量の多いコントレックスをグラス1杯飲むと、腸のぜん動運動も活発になり、また利尿効果でむくみがとれ、化粧ののりがよくをるほず。

 仕事中はあまりトイレに行けなくなるので、エビアンなどコントレックスよりマグネシウムが少なめのミネラルウォーターを飲んでおきます。

 また帰宅後、お風呂に入りながら、ミネラルウォーターを飲むと、体に吸収されやすい、といわれています。 一度にたくさん飲むより、少しずつ室内に置いておき、水分を補給することが、体の「水不足」を防止するのに大切です。

 ペリエやサンペレグリノなど発泡水もミネラルウォーターの仲間。とくにペリエは、カルシウム成分が多いので、とても健康的な飲み物です。

 カフェでペリエを飲んでおくと、長時間の室内の打ち合わせの乾燥防止になりますし、お酒の席で、「もうアルコールは飲みたくない」と思ったときなど、ペリエにレモンやライムを入れて飲むと、アルコール分を早く排泄させることもできるのです。 体を水不足にしない 肌を水不足にしない と心がけておくと、シワや乾燥を防ぐことができるんですよ。

 ちなみに私は、10年ほど前に、フランスのコントレックスヴィルにあるコントレックスの水治療クリニックを見学して以来、いつでもミネラルウォーターのボトルを持ち歩くようになり、今は夜、洗顔後、クリームをつけずに休むようになりました。体に水分を補給すると肌が乾燥しなくなったのです。

 ところで、コーヒーやお茶をミネラルウォーターでつくる人がいますが、ミネラル分は加熱すると作用が失われます。ミネラルウォーターのミネラル効果を期待するときは「生」でどうぞ。


ミネラルウォーター成分表(mg/リットル)

分類と種類 カルシウム マグネシウム ナトリウム カリウム PH 硬度
ヴィッテル 91.1 19.9 7.3 4.9 7.3 307.1
エビアン 78.0 24.0 5.0 1.0 7.2 291.0
コントレックス 486.0 84.0 9.1 3.2 7.3 1551.0
サンペレグリノ 185.6 52.5 35.0 2.5 7.8 674.0
ボルヴィック 11.5 8.0 11.6 6.2 7.0 60.0
ラムローサ 4.0 0.37 200.0 1.7 8.5 11.48
ペリエ 147.3 3.4 9.0 0.4 6.0 381.9
龍泉洞地底湖の水 35.2 2.2 2.3 0.3 7.6 96.8
六甲の
おいしい水
25.1 5.2 16.9 0.4 7.4 約84
クリスタルガイザー 6.4 5.4 11.3 1.8 - 38.0
南アルプスの
天然水
9.7 1.5 6.5 2.8 7.1 約30
羊蹄山の湧き水 5.1 1.5 7.0 1.5 7.3 18.75