海原純子の医学講座

 仕事で長時間カンヅメ。
 食欲もなくバテバテ。
 というとき、サッと元気になりたいときに、私が頼りにしているのは、
 バルサミコ酢と青梅にハチミツ。

 バルサミコ酢というと、なんだかスーパーに並んでいるあの黒いお酢!?
 と思われるかもしれませんが、私はイタリアのフィレンツェに行ったとき、 食材の店に並んでいる年代物のバルサミコ酢(なんと熟成20年、桜の木の樽で) を手に入れ、あまりにもおいしかったので、以来はまっています。
 日本では黒酢がブームになって、飲む人も多いようですが、私は以前飲んだところ、刺激でのどの粘膜が痛くなってしまったので、黒酢を飲むのはちょっと……と思っています。

 それに、何となく黒酢を飲むのは健康おたくのオジサンみたいでイヤ、とい うわけで、もっぱらバルサミコ酢です。
 お酢は紀元前1400年ごろからあったとされている古い調味料で、醸造酢 と合成酢があり、醸造酢は、お米や小麦、りんごなどを原料にしたもの。米酢 は、約3カ月ほどでつくられますが、黒酢は米を原料として3年ほど熟成したもの。合成酢は醸造酢に酢酸を加えたものですから、体によいのは醸造酢です。

 イタリアのバルサミコ酢は黒酢よりさらに長く熟成させ、短いものでも3年、 通常10年。私のお気に入りは、チェリーやジュンバーの樽で20年熟成させたも の 。
 とろりと粘度が高く、真っ黒で甘みがあって香り高く、私はこれを温野菜 (カボチャ)にちょっとつけたり、牛のもも肉を薄く切って焼き、その上にのせたりします(大さじ1杯ほど)。バルサミコ酢には、クエン酸のほか、アミノ酸も豊富で、こうした有機酸は 疲労の原因となる乳酸の分解を促進し、疲れをとるのに役立ちます。
 また、お酢は糖の代謝機能を高め、エネルギーの源となるグリコーゲンの再補充をしてくれるのです。

 私がフィレンツェで見つけたバルサミコ酢は、ACETAIAEDISPENSA LEONARDI社のもの。3年もので8ユーロ、10年もので15ユーロ、20年もの で50ユーロと高価です。
 最近、偶然にも東京・新宿のパークハイアット東京のデリカテッセンコーナ ーで、同じ20年もののバルサミコ酢を見つけました。なんと1万5000円ほ どしていました。びっくりですが、とても美味です。

 さて、もうひとつの疲れ解消グッズは、青梅をつけたもの。こちらも梅に含 まれるクエン酸や有機酸により、体内にたまった乳酸を分解できます。
 私は梅のシーズンに、青梅をハチミツとお酒でつけて梅漬をつくっておきま す。
 また、梅干は塩分が多くてイヤという方によい梅のお菓子を発見。「宝梅紀のなごみ」という梅のお菓子で、梅をオリゴ糖、ハチミツ、リンゴ酢などでつけたもの。
 ハチミツは、果糖とブドウ糖が主成分で、すぐ吸収されて、胃腸に負担をか けず疲労回復に役立ち、リラックス効果のあるマグネシウムも豊富。スプーン に半分ほどなめたり、ハーブティーに入れるとエネルギーがアップします。



 お手軽な化学調味料、さっとひとふりでだしが出るのですが、現代人の生活は化学物質づけで、私たちは年間に数キロの化学物質をとっているといわれています。恐ろしいことですね。

 化学物質は、肝臓に運ばれて処理されるので、肝臓の負担となり、肝臓機能が低下すると、だるさや肌荒れの原因となります。
 さらに、化学物質を多くとることで、化学物質過敏症の原因やアレルギーの 引き金にもなるわけです。せめて、スープやみそ汁のだしを天然のこぶ(昆布)でとってみては?

  毎日は無理でも、週末ちょっと時間にゆとりのあるとき、体の負担を軽く する温かい飲み物をつくってみましょう。

用意するもの

(1) こぶ
(2) どんこ(または干ししいたけ)
(3) かつおぷし(けずりぶし)
(4) だし用紙パック

作り方

(1) おなべにこぶを5センチくらいの幅にカットして入れ、沸騰させる。
(2) ふっくらしてから約20分煮る。
(3) 私は個人的にしいたけの昧が好きなので、こぶと一緒に干ししいたけを2 枚ほど入れて煮ています。
(4) けずりぶし少々を、だし用紙パックに入れて1分ほどなべに入れて煮たあと引き上げる。

これでだしのできあがり。